EgWord 2.22
日本で生まれたMac対応ソフトウェアで忘れることができないのはエルゴソフトのEgWordです。1984年5月のビジネスショウで参考出品されたLisa用日本語ワードプロセッサプログラムが元になっているといわれています。残念ながら,Lisa用日本語ワードプロセッサプログラムが動いているところを実際に見る機会はありませんでした。月刊ASCIIに写真が掲載されたので,ご覧になった方はご記憶されていらっしゃるのではないでしょうか。
Lisa MacWorks環境とDynaMacに対応したバージョン1.1のサンプル版が最初に納品され,後にMac Plus対応のバージョン2.2が正式に納品されました。EgWordバージョン2まではまだ漢字Talkが発表される前の製品でしたので,英語のシステム上で動作するものです。バージョン1.1にはFinderのメニューやダイアログがカナ表示できるように修正されたシステムディスクが付属しました。当時カナFinderと呼ばれていました。
懐かしいカナFinderをLisaのMacWorks XL環境で起動してみたのですが,残念なことにシステムエラーで完全に起動できませんでした。システムエラーのメッセージまでカナ表示されており,当時の雰囲気は伝わるのではないかと思います。
LisaのMacWorks Plus環境を英語のシステムで起動して,EgWord2.22をインストールします。EgWord本体と漢字フォントと変換辞書を同じフォルダにコピーします。
EgWord本体のプログラムサイズはわずか182KB,1987年1月の日付になっています。
実際に起動してみました。最初にメニューバーに「EgWord Advanced Version」と表示されます。
初期画面です。漢字Talk 2.0以降のメニューバーアイコンの位置に,日本語変換のためのアイコンが配置されています。この位置にメニューバーアイコンを配置したアプリケーションはEgWordが初めてではないでしょうか。
文節変換が主流だった当時,句読点による文章一括変換は先進的でかつ魅力的でした。今改めて使ってみると,日本語変換が思ったようにいかないところがあったりしてちょっとストレスを感じましたが,Macの日本語ワードプロセッサのパイオニアとしての栄光は揺るぎないものでした。さらにMacの特徴を活かして,文書中にグラフィックスをペーストできるようになっていました。今では当たり前の機能ですが,当時としては画期的なものでした。 EgWordバージョン3からは漢字Talk 2.0対応となり,日本語フロントエンドプロセッサのEgBridgeが独立した製品として登場することになります。