cocktailAudio X45の音源に対するTAG編集

以下の投稿で指摘した,smb接続したX45の音源を,PCのタグエディタで直接すると音源がおかしくなる現象は,2021年11月のファームウェアアップデートX45-CA-1.0.0R1721にて解消されました。(註:このファームウェアはNOVATRONのホームページでは提供されていません)しかしながら,音源管理の基本は大切です。

株式会社トライオード並びにNOVATRON社の皆さまに感謝いたします。

X45の内蔵SSDを取り外して,MacBook ProにUSB接続して楽曲データを転送した。macOSの場合,フォルダの中にX45には必要がない「.DS_Store」というOSが使用する隠しファイルが存在するので,転送時にフィルターを設定してコピーしないように注意した。転送完了後X45にSSDを取り付け直し,Music DBのスキャン作業を実行すると,約4時間程度かかってすべての楽曲の情報がデータベース化された。

人間の作業なのでどうやってもTAGのミスは発生してしまう。これをどのように修正するかが今回のテーマである。

大元の音源はTerramaster D5 Thunderbolt 3  に4TB×4台のWestern Digital REDでRAID5を構築(計12TB)して保存している。5スロット目には価格が下がった時点で14TBのREDを追加し,手動でRAID5ボリュームをバックアップする運用を行うつもりでいる。これをMacBook ProにThunderbolt 3で接続して管理する。Thunderbolt 3なのでNASのEthernet接続に比べると格段に高速にデータ転送ができるので,無駄な時間が発生しない点で優れている。

正しい音源管理に従えば,次のような方法をとるのが正解である。

  1. MacBook Pro上でD5 Thunderbolt 3の音源ファイルに対してTAGの修正を行う。
  2. X45のブラウザでTAGが誤っている音源をフォルダ(この場合はアルバムに相当する)ごと削除する。するとMusic DB上からTAGが誤っている音源に関する情報が完全に削除される。
  3. MacBook ProからX45にsmb接続を行い,1で修正した音源をフォルダアルバム(この場合はアルバムに相当する)毎X45の適切な位置にコピーする。
  4. X45のブラウザを使って3でコピーされたフォルダこの場合はアルバムに相当する)に対してMusic DBへの読み込みを実行する。

しかし人間はわがままなもので,ちょっとしたTAGの修正なら直接X45の音源ファイルを修正したいと思ってしまうのである。

では試してみよう。

Finderの「移動」 >> 「サーバへ接続…」を実行する。X45がDHCPでIPアドレスを取得する設定になっている人は,起動時に表示されるIPアドレスをメモっておくか,X45のメニューでシステム情報を見てIPアドレスを確認しておくこと。

接続できるとログイン方法を聞いてくるが,FireWall下のプライベートネットワークの内部に設置しているので,細かい設定は省力している。なのでゲストでログインする。

マウントされた状態を示す。My Music以下がMusic DBに登録される音源を配置する場所で,My Musicをリネームしてはいけない。音源の配置は自由である。今回はジャンル >> アーティスト >> アルバム >> 音源ファイル+カバーアートとした。

My Musicと並列に存在するDiscs以下には,Music DBに登録しない音源を格納してある。またFontフォルダ以下には,X45の表示をカスタマイズするためのフォントを格納してある。

テスト音源を準備する。ジャンルはTESTである。TAG編集ソフトで,ジャンルを「TEST」に変えておく。

smbで接続されたX45のMy Music直下にコピーする。これだけではX45のMusic DBに登録されない。本体リモコンまたはタブレット用のMusic X NEOアプリを使用して,手動で登録を行う必要がある。

登録できた。基本操作はこれで問題ないようである。

では次に,sbm接続されたX45にある音源に対してTAG編集ソフトを使って編集を行ってみる。ジャンル名をTESTからTEST2へ変更してみる。ネットワーク越しなので読み込み・保存がもったりするが,問題なく行うことができる。

続いてMusic X NEOでScan Music DBを実行する。Music DBを見るが,ジャンルはTESTのままでTEST2は表示されない。ジャンル以下を見てみると,きちんと楽曲が表示され,再生も可能である。しかしジャンルはTESTのままで更新されていない。

音源ファイルの修正日時は,タグを編集して保存した時点でその時刻に更新されている。音源ファイルを格納しているディレクトリ(フォルダ)をMac から見ると,作成・更新日時が変更されていないことが分かった。これが原因かもしれないと考えて,それぞれのディレクトリに対してターミナルからTouchコマンドを使って最新の日時に更新を実行した上で,Music X NEOからもう一度Scan Music DBを実行する。残念ながらMusic DBは更新されなかった。Scan Music DBはファイルやディレクトリの変更日時をチェックしてMusic DBの更新を行うロジックではないことが分かった。

それでは次のステップへ進む。Music X NEOを使ってジャンル名をTESTからTEST2に書き換えてみる。Mac上にsmb接続しているフォルダ名も直ちにTESTからTEST2に書き換えられる。

Music DBを見ると,これだけでは何も変化がない。TEST2に対してScan Music DBを実行してみる。これでも変化は起こらない。再生もできる。Music DBは単純に音源ファイルのパスだけを見ているのではなさそうである。

続いて今度はアルバム名に相当するフォルダ名を変更してみる。

続けてScan Music DBを実行してMusic DBを見る。ジャンル表示はTESTのまま変化なし。だがTESTを開いて表示される楽曲は再生できなくなっている。Music DBは音源ファイルの直上にあるフォルダ名(一般的にはアルバム名に相当すると思う)を直接編集すると正しく動かなくなることが分かった。

ここでX45の電源をいったん落とし,再投入(再起動)を実行する。X45の電源ON/OFFに伴ってMusic DBが自動的に何らかの更新・保全動作を行うことは以前から分かっているので,どのような結果になるだろうか。

  • ジャンル表示は変わらすTESTのまま
  • 再生はできるようになった(Music DBが修復されたのだろう)
  • 楽曲を再生したときに表示されるジャンルタグはTESTのまま変更されない

まだ実験は続く。今度はMacからMy Musicの直下にTEST3というフォルダを作成し,そこに音源ファイルを移動したうえで,アルバム名に相当するフォルダ名を修正した。

このフォルダに対してScan Music DBを実行してMusic DBを見る。新たにTEST2というジャンルが追加されていることが分かる。しかしTESTというジャンルが残ったままだ。TEST以下に楽曲は表示されるが,再生はできない。TEST2以下の楽曲は再生できる。TAG情報もきちんと更新され,TEST2と表示されている。

TESTという存在しないジャンルはどうやって消せばよいのだろうか。

Music X NEOでTEST2というフォルダを削除してみたが,Music DBからTESTというジャンルは消えない。X45を再起動してみたが,やはりTESTというジャンルは消えなかった。完全にゾンビデータとなってしまっている。

TEST3その物を削除すれば,音源がなくなるのでTESTもTEST2も表示されなくなる。まあ当たり前の挙動であるが,これではTAG編集ができるとは言えないだろう。

音源管理は基本を守りましょう!

現状ではsbmでX45に接続して,パソコンのタグ編集ソフトを使って直接タグ編集を行うことはできなかった。

NOVATRONがファームウェアの修正をしてくることに期待。